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幾つかの「すらすら読める」翻訳について

来源:日语论坛发表时间:2008/6/13字号:T|T
幾つかの「すらすら読める」翻訳について  この一年余りの間、一生懸命で「硬い翻訳」(直訳)を攻撃した名士は、もう三代にわたっている、最初は開祖の梁実秋(りぁんしーちぅ)教授であり、次は弟子の趙景深(...

幾つかの「すらすら読める」翻訳について

 この一年余りの間、一生懸命で「硬い翻訳」(直訳)を攻撃した名士は、もう三代にわたっている、最初は開祖の梁実秋(りぁんしーちぅ)教授であり、次は弟子の趙景深(ちゃおちんしぇん)教授であったが、最近では孫弟子の楊晋豪(やんちんはお)大学生があらわれた。しかしこの三代の中で、趙教授の主張が最もはっきりしていて徹底しているといえる、その要義は――
 「原文に忠実ではあっても、すらすらと読めない訳よりは、むしろすらすら読めたら忠実でなくても、その方がましだ。」
というのである。
 この格言は何とも奇妙奇怪なものであるが、しかし読者にとっては効果のあるものだ。というのは「忠実であってもすらすらと読めない」訳文は、ちょっと読んでも骨の折れるものに思われるからである、書物によって精神の休養をしようという読者は、もちろん趙景深教授の格言に敬服する。「すらすらと読めるが原文には忠実でない」訳文の方は、もし原文と対照しなければ、その「忠実でない」ところはどこであるかも一向に分らない。ところが原文と対照する読者は、中国に何人あるだろうか。この場合、読者は訳者よりも多少よけいに知っていてこそ、その文中の誤りを見出すことができて、その「忠実でない」ところが分るわけだ。そうでなかったら、ただいい加減に頭の中へつめこむだけである。
 私は科学についてはほとんど知っていないし、それに洋書を何ももってはいないので、ただ翻訳書を読むだけだが、しかし最近ときどき疑問の点にぶつかる。手ぢかな例を少し挙げてみよう。『万有文庫』の中にある周太玄(ちょうたいしぅぁん)氏の『生物学概説』に、こういう一句がある――
「最近ニイルおよびエール両氏の麦についての……」
 私の知っているところでは、スエーデンに生物学の大家でNilsson-Ehleという、小麦の遺伝を研究している人がいる、だが彼は一人で二姓をかねているので、「ニルソン・エール」と訳してこそ正しいのである。それをいま「両氏」といい、更に「および」を加えてあるのは、すらすら読めることは読めても、私には別々の二人かと不審がらせるのだ。これは小さな問題にすぎないけれども、しかし生物学を研究するには、こんな些細なこともいい加減にすべきではない。だが、まァどうでもいいことにしておこう。
 今年三月号の『小説月報』に出た馮厚生(ふぉんほうしょん)氏訳の『老人』の中には、またこんな一句がある――
 「彼は傷寒病(チフス)から流行性感冒(Influenza)という重病に変り……」
 これも大へん「すらすら」行っているが、しかし私の知っているところでは、流行性感冒は決して傷寒(チフス)より重い病気ではないし、それに一つは呼吸器系の病気であり、一つは消化器系の病気であって、どんなに「変」ろうとしたって、「変」りようがないものだ。「傷風(かぜ)」とか「中寒(さむけ)」とかであってこそ変りもしよう。けれども小説は『生物学概説』とは違うから、われわれはやはりまァどうでもいいことにしておこう。次には別の方面のある不思議な実験を読んでみる。
 この実験は、何定傑(ほーちんちぇ)および張志耀(ちゃんちーやお)両氏の共訳になる米国のConklinの書いた『遺伝と環境』の中にあるものだ。その訳文は――
 「……彼らは先ず兎の眼球の中の髄質の水晶体を取り出して、家禽(かきん)の眼の中に一種の『代晶質』ができて、この種の外来の蛋白質分を十分透視できるようになってから、再び家禽の血清を抽出し、妊娠中の雌兎に注射する。雌兎はこの注射を受けると、堪えることができずして、大てい死亡するが、しかし彼らの眼球あるいは水晶体には決していかなる傷害も見られないし、また彼らの卵巣内の卵子にも、何ら特別の傷害を見ない、何故ならば彼らがその後生んだ仔兎について見るに、決して生まれつき不具の眼をもったものはないのであるから。」
 この一節の文章は、極めて「すらすらと読めて」、分るような気がする。だが細かく考えてみると、どうも分らなくなってくる。一、「髄質の水晶体」とは何であろう? というのは水晶体には髄質、皮質の区別がないからだ。二、「代晶質」とはまた何であろう? 三、「外来の蛋白質を透視する」とはまたどういうことであろう? 私は原文と対照することはできないし、実に大へんな苦労をして、あれこれと考えて、やっと多分次のように改訳すべきだろうと思った――
 「彼らは先ず兎の眼の中の液状(注射に便利だから)にした水晶体をとって、家禽に注射し、家禽がこの外来の蛋白質(即ち液状の水晶体)に感応して「抗晶質」(即ちこの液状水晶体に抵抗する物質)を生ずるのを待って、しかる後に